忍者ブログ

memo*memo

忘れぬうちに、すべてメモ。

「ぬるい眠り」

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

「ぬるい眠り」

 江國香織 著 新潮社 2007/3/1

 『きらきらひかる』の十年後を綴った『ケイトウの赤、やなぎの緑』他、中編短編合わせた九編を収録。
 文庫オリジナル。

 ぬるい眠り

 人間関係を定義するのは、なんて難しいのだろう、と思う。
 普段から思ってはいることだけれども、江國香織の小説を読むと特にそれを強く感じる。
 男と女で、肉体関係があるからといって恋人同士とは限らない。
 肉体関係がないからといって、恋人同士ではないとは言えない。
 互いに好き合っていて結婚しても、肉体関係がない夫婦だっている。
 そして夫の恋人が男で、その恋人と妻の関係は-?
 …って最後のは『きらきらひかる』の設定ですが、一言では表現出来ない関係の代表かな、と。
 誰かに説明するのに定義は必要だけれど、定義しちゃうと味気ないなあと思うのです。


 以下、ネタバレ含む感想。
『ラブ・ミー・テンダー』
 これも愛。周りがバカを見る夫婦の見本。
 怒る気にもなれず、優しく苦笑いするしかないってヤツですね。
 傍から見てると微笑ましいのですが。

『ぬるい眠り』
 一番“江國香織の恋愛小説”っぽい気が。
 あ、だから本のタイトルなのか。

『放物線』
 スガシカオの“ぬれた靴”を思い出した。
 “中華屋”と“懐かしい友人”繋がりなわけですな。多分。

『災難の顛末』
 ノミに刺されまくった肌を恋人に見せることに耐えられない。
 恋人に気持ち悪がられるのが嫌なのではなくて、そんな肌を愛撫されている自分に耐えられないのだ。
 …と、いうことを理解できない人は一生出来ないんだろうなーと思った。
 十代のわたしも多分無理だ。

『とろとろ』
 彼に溺れ過ぎると自分を見失ってしまう。それが怖い。だから、他の男の人とも寝る。
 …みたいな感じ。分からなくはないけど、イヤだな。
 小説としては好きですが。

『夜と妻と洗剤』
 旦那さま視点のこういうタッチ、珍しいのでは??

『清水夫妻』
 本当に、こんな夫婦がいたら怖い。
 けど、お葬式が“神妙で敬虔な気持ち”になる、というのは分かる。
 大して付き合いのない人のお葬式だと、なりませんかね?

『ケイトウの赤、やなぎの緑』
 紺と睦月が別れているのは、作者の“恋は必ず終わる”という哲学によるのかなと。
 ここで別れてなかったら、少女漫画ですけど。
 でも三人の関係は切れていない、というところが素敵。現実もそういうことあるよね。
 そして説明し難い、という関係。
 個人的に、笑子さんやちなみさんみたいな女の人、大好きなので読んでて楽しかった。

『奇妙な場所』
 いくつの時の娘?? と、計算してしまった。。
 これくらいの年齢の女性が集まってると、確かに同年代にしか見えないかもー。

拍手[0回]

PR

コメント

プロフィール

すずね
本と音楽、お茶とお菓子を愛する腐女子属性人間。
気まぐれに自転車にも乗ってます。
自己紹介的な記事はコチラ
2006年4月以前の日記はコチラ

カレンダー

03 2024/04 05
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30

ブログ内検索

本棚

バーコード

アクセス解析

忍者アナライズ