で。
　ラストから３～２曲目（だと思う）、あたくしヤられちゃったのです。
　がつーんと。
　出だし一発、KO。
　くらっとして、そのまま音だけの世界へ強制送還。
　ステージの五十嵐を見ているのにひとりでいるような気持ちになってクラクラ。
　うあ、うあ。アタシひとりだよ誰も何もないとか思う余地もなくひとり。
　自分の皮膚から外の世界が存在しないみたいな感覚。
　目には小屋いっぱいの客もステージの上も見えてるのに現実として捉えられない。
　ダイレクトに音だけ注入されてるみたいな。
　うあうあうあこれキツいってばきゃぱおーばーで死んじゃう。
　と、思って隣にいた連れに抱きつきたい衝動に駆られたけど頑張って耐えてみた。
　くらっとした時に、肩がぶつかったんですよ。
　その時、体温とか感じて、あ、触覚は生きてる良かったこれは幻デスヨと思って、ちょっと冷静になって、これって滅多にないことだからこのままいようと思ったのね。
　フィルターなしに音が飛び込んでくる感覚。
　間違いなくバンドの音なのに、バンドって言うのは違う音が重なり合って作るハーモニーのなのに、何故か一本の音に聞こえた。間違いなくバンドとして全員がそれぞれの音を出しているはずなのに、五十嵐ひとりでいっぺんに音を出しているように聞こえた。五十嵐ひとりってのは、あくまでsyrupの象徴としてのビジュアルイメージであって、中畑さんやキタダさんが五十嵐の音を模倣していた、というわけでは無い。勿論。